国際送金の未来を銀行が実験中、BIS主導の実証テストとは
国際決済銀行(BIS)主導のもと、世界の大手銀行がトークン化したお金を使った国際送金の実証実験を行いました。背景・仕組み・私たちの送金体験への影響をわかりやすく解説します。

出典:Global banks test tokenized money for cross-border payments in $1 million BIS pilot(世界の銀行、BIS主導の100万ドル規模パイロットで国際送金向けトークン化マネーをテスト)
この記事は上記ニュースをもとに、EDEN向けに要点と背景を整理したものです。
朝、海外に住む家族にお金を送ろうとしたとき、手数料の高さや着金までの時間に驚いた経験はないでしょうか。国際送金はいまも「遅くてコストがかかる」という課題を抱えたままです。その仕組みそのものを変えようとする実験が、世界の中央銀行や大手金融機関を束ねる国際決済銀行(BIS)の主導で動き始めました。
銀行が「トークン化されたお金」で国際送金を実験
BISのプロジェクトには複数の大手銀行が参加し、合計100万ドル規模の資金を使ったテストが行われました。ポイントは「トークン化されたお金」を使う点です。トークン化とは、現実の資産や通貨をブロックチェーン(取引記録を分散して管理する技術)上のデジタルデータとして扱えるようにすることです。今回の実験では、銀行が持つ資金をトークンに変換し、国境をまたいで送る流れを実際に動かして検証しました。
なぜいまの国際送金は遅くて高いのか
現在の国際送金は、SWIFTと呼ばれる金融機関どうしの通信網を通じて行われるケースが多く、複数の銀行を経由するため1〜5営業日かかることも珍しくありません。手数料も一件あたり数千円になる場合があります。トークン化されたお金を共有のブロックチェーン基盤で動かせれば、中継する銀行の数を減らし、処理時間と費用の両方を圧縮できる可能性があります。
「制度の内側」から変革を探る動き
今回の実験が注目されるのは、仮想通貨のスタートアップではなく、金融システムの監督機関であるBISと既存の大手銀行が主体である点です。リスクや規制の議論を横に置いたまま突き進むのではなく、制度の内側から変革を探ろうとしています。これはRWA(リアルワールドアセット:現実の資産をブロックチェーン上で扱う仕組み)の文脈でも注目されているテーマで、「ステーブルコイン(価値が安定したデジタル通貨)を超えた、銀行発行のトークン型マネーがどこまで機能するか」を探る試みとも言えます。
実用化への課題
もちろん、実証実験と実用化の間には大きな距離があります。異なる国の法規制をどう揃えるか、複数の銀行システムをひとつの基盤につなぐ標準化をどう進めるか、セキュリティをどう担保するかなど、越えるべき壁は少なくありません。
私たちの送金体験はどう変わるか
それでも、今回のテストが示す方向性は明確です。送金する人が意識しないところで、お金の動き方のインフラが静かに書き換えられようとしています。🌐
数年後に海外送金の手数料が大きく下がったり、着金がほぼリアルタイムになったりしたとき、その裏にはこうした実験の積み重ねがあるかもしれません。技術の話として遠く感じるかもしれませんが、最終的には私たちが使う金融サービスの「使いやすさ」につながる動きです。